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Card Magic USA - Peter Duffie

11-01,2015

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"Card Magic USA" Peter Duffie - 2010

Peter Duffieプレゼンツで、米国のマジシャンのカードマジックオムニバス作品集です。
約50名による技法と手順が80作収録されています。
いろんな人の原稿をまとめてとりあえず1冊の本にしたという感じで解説のスタイルは人によってバラバラです。
活字だけの解説の人もいますし、挿絵が写真の人もいればイラストをつける人もいます。クレジットに関しても本当に人それぞれと言った感じです。
名前を聞いたことのなかったマジシャンもいれば、かなりのビッグネームも大勢名を連ねています。
この類の本に手を出す人は恐らく察しておられるかと思いますが、作品の質に関しては玉石混淆といった感じです。
また有名どころのマジシャンはさすがだなと思うような作品もあれば、名前で期待していたマジシャンがあまりおもしろくなかったりとかもありました。

個人的に面白かった手順をいくつか挙げておきます。

John Bannon - Aces Over Easy
4Aのプロダクションの後、Aをデックの中に裏向きでバラバラに戻すがスプレッドするとAが表向きになって一緒に現れる。
John Bannonらしく実に上手い手順構成。無理に力技でゴリ押すのではなく、巧みな策略で解決するあたりがさすが。
氏の著書"High Caliber"にも収録されているようです。

John Born - The Perfect Pick
嘘を言い当てる演出で行なうカード当て。
実際に演技を見たら相当に不思議に見えると思う。演技中演者はテーブルから離れ、観客が自由に選んだカードは演者が手掛かりをつかめないようポケットに隠してもらうなど非常にクリーンで不可能性が高く見える手順。
氏の著書"Seeking the Bridge"にも収録されているよう模様。

Bill Malone - Up My Sleeve
Card to PocketというかCards up the SleeveのMalone版。
先に映像で観ていて好きな手順でした。("Here I Go Again Vol3"にA Tribute to Johnny Carson !として収録)
それなりにハードですが、上手くまとまった良い手順だと思います。
また併せて解説されているSix Card Repeatも良作だと思いました。

その他にも割と好きなクリエーターのCaleb Wilesによるテクニカラーリセットとジェミニツインズの改案などもなかなか面白かったです。

また本書の最後にPast Mastersというレジェンド枠的な章も設けられており、Gene MazeやMichael Skinnerらの作品も載っています。
個人的にはRoger KlauseによるVernonのOut of Sight Out of Mindのアイディアについての部分が面白かったです。


玉石混淆とは言いましたが、面白い作品はそれなりにあるので何かしら得られるものはある本だとは思います。(上記に挙げた手順のように別の資料で発表されているものもあったりするのですが。)

Las Vegas Kardma - Allan Ackerman

09-21,2015

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"Las Vegas Kardma" Allan Ackerman - 1994

アメリカのマジシャンAllan Ackermanの作品集。
コインのリバースマトリックスが1作収録されていますが、それ以外はタイトルの通りカードマジックの作品集です。
技法もコントロール、パームを中心にいくつか解説されてり、全体の2-3割ぐらいを占めています。
Ackerman自身はスライハンドの名手ですが、手順の技術的な難易度はあまり高くありません。セルフワーキングトリックもそこそこの割合を占めています。
またAckermanといえばMarlo派のマジシャンだけあり、全体的にMarloへのリスペクトが感じられます。実際Marloのバリエーションを集めた"Some Marlo Gems"と名付けられた章もあります。

収録されている作品数も多く、幅広いプロットを取り扱っていますが、特にジェミニツインズとエースアセンブリの内容は充実しています。
ジェミニツインズについては4作収録されており、中心となるトリックは基本的に同じですが演出がバラエティ豊かです。
いずれもよくできた作品ですが、「テクニカルなカードマジック①」で収録手順の改案(違いはセットの有無ぐらいでほとんど同じ)を先に読んでいたので、やや新鮮さには欠けましたが、元となる作品や創作の経緯が面白く読めました。

エースアセンブリには、リバース、オーヘンリー、アルティメットアセンブリと複数のタイプのアセンブリ現象を取り扱っています。
リバースアセンブリについては本書を読む前から、他の本で何度か取り上げられているのを見ており、後発の作品への影響も大きいかと思います。

全体的に手順そのものは、手順構成や技法の使い方などが個人的な好みからはやや外れていましたが、特にアセンブリの章などは読みごたえがあり面白かったです。
また個人的には選ばれた4枚のカードを不可能な状況下で当てる"Impromptu Paul Fox"が面白かったです。

クレジットに関しては詳細で、誰のアイディアが元になったかであったり、過去の作品との違いなど詳細に書かれています。
ただマジシャンの名前や時期などは詳細ですが、元になった作品が発表された書籍の名前などはあまり詳しく書かれていません。

Dobson's Choice, Special Effects - Wayne Dobson

08-06,2015

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"Dobson's Choice, Special Effects" Wayne Dobson - 2010

Wayne Dobsonの作品集。
13作品解説されており、ほとんどはカードマジックですが、ボトルやシルクを使った作品も収録されています。
クロースアップマジック、サロン向けそれぞれ半々ぐらいの印象です。
本の作りとしては以前紹介した Dobson作品集"Look No Hands" とほとんど同じです。写真も少しありますが、解説の内容とは無関係で、解説自体は挿絵無しでテキストのみでの解説です。
"Look No Hands"では観客にすべて操作させるhands offというコンセプトの作品集でしたが、今回は演者も道具に触れますし、技法を使う作品もあります。しかし全体的にスライハンドの難易度は低く、hand offなマジックもあります。

Invisible Deck、 Five Card Repeatあたりが目玉の作品で有名どころだと思います。セリフや演技に取り入れているギャグもしっかり解説されています。ご本人の映像も見ましたがどちらも面白く、会場も大いに沸いていました。

以前も書いた気がしましたが、演出の部分の解説がしっかりしている手順とそうでない手順があります。上記の2作をはじめ演出部分をしっかり解説している作品については面白く読むことができました。
ACAAN Almostは演者が一切デックに触れないエニーカードアットエニーナンバー(っぽいエフェクト)です。トリックは極めて単純なのですが、ユニークな演出によって上手くはまればエニエニに近い印象を与えることができます。
観客が絶対有利なゲームで唯一のはずれカードを観客が掴んでしまうマジックSome You Win Some You Loseの解説ではほとんどを某有名フォースの解説に費やしておりやや物足りません。一応ゲーム形式という演出も付いていますし、観客からいい反応をもらえるであろう作品なのですが、それ単体でマジックになるようなフォースを使ったマジックなので Dobsonなりに工夫した部分の解説や、演出部分に力を入れてほしかったなと。

自分でやってみようという作品はあまりなかったのですが、楽しい演技をされるWayne Dobsonだけあり今回もなかなか面白かったです。

Effortless Card Magic - Peter Duffie

07-04,2015

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"Effortless Card Magic" Peter Duffie - 1997

Peter Duffieによるカードマジック作品集。紙媒体では既に絶版ですが電子書籍で読むことができます。
個人的には初めてのPeter Duffieの作品集でした。Peter Duffieはかなりの多作家なので何から手をつけたらいいのかよく分からなかったのですが、比較的評判の良さそうな本書を選びました。「The Best of Peter Duffie」という初Duffie本にちょうど良さそうなタイトルも見つけたのですが、ベストなのに5巻まで出ていて「お、おう……」ってなりました。

タイトルからセルフワーキングやサイコロジカルな手法を連想しそうなタイトルですが、それなりに技法を使う作品も収録されています。いずれもスライハンド的な難易度は低いです。

さまざまなテーマを十数章に分けて約50作解説されています。基本的にプロットや現象毎などで分けられていますが、HofzinserやBob Hummerの章というのもあります。
先日邦訳されたJohn Guastaferro『ONE DEGREE』収録のLOST & FOUNDに影響を与えた作品Clear to the Pointも解説されています。

全体的にトリックとしてはよくできていて、手順構成のレベルが高いので上手く作ったなと思わされる作品が多かったです。その一方で現象自体があまり魅力的ではありませんでした。また演出についてはあっさりしており、あくまでトリックといった印象を受ける作品が多かったように感じます。
序盤は現象は好みではないのに手順構成の面白さで結構読み進めることができて、50作もあれば現象が気に入る作品もそこそこあるだろうという感じで読んでました。ただ中盤あたりでもなかなか現象にハマる作品がなく、さすがに辛くなりました。
現象が面白いと感じるかどうかは、ある程度個人的な感覚になるので、現象がハマる人にとってはトリック自体がよく出来ているので面白く読むことができると思います。

宝探し的に大量の手順にあたることが苦でない人には、何かしら得ることができる作品集であるとは思います。
個人的にはもう少し作品を厳選した作品集にしてくれると読みやすなと。

One Degree - John Guastaferro

06-04,2015

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"One Degree ジョン・ガスタフェロー カードマジック"John Guastaferro著、富山達也訳 - 2015

2010年に出版されたJohn Guastaferroの作品集"One Degree"の日本語版。
大きな効果のための細やかな工夫を意味する"One Degree"が本作のテーマです。過去の作品をいかに工夫したかという点や、創作の経緯についてしっかり書かれています。クレジットについても原案や類似作品を羅列するだけでなく、「このアイディアは誰のアイディアで出典は~」と詳細に書かれています。
全体的に実用的な作品が並んでいて、いずれも難易度は高くないですが現象がはっきりしていて効果的な手順が多いです。
それぞれの作品にしっかりとした演出がついているのと、観客とコミュニケーションを取りながら進めていく手順が多い印象です。
不思議さを突き詰めた感じのマニア殺し的な目的で作られたトリックはありませんが、ところどころマニアも引っかかる部分もあったり、変わったアプローチの手順もあるので誰が読んでもそれなりに楽しめると思います。

過去にDVD等で発表された作品もそこそこ収録されています。
「Brainstorm」「Second Storm」を鑑賞済みだったので、既に映像で見た作品も結構ありました。しかしそれぞれに細やかなアイディアが追加されており、本作のテーマである細かな工夫を過去の手順と比較しながら読めたので面白く読むことができました。

LOST & FOUNDという透明なスリーブケースを使ったポイントオブデパーチャー的なトリックがあるのですが、ラストに実に巧妙な手法が使われており映像で見たとき完全に引っかかりました。いいトリックなのですが、ちょうどいいスリーブケースが見つからないのが難点です。
オープン・トラベラーズのバリエーションであるSOLOは解説を読む前に実演を見たかったです。このプロットの欠点を解決しつつ、終盤に衝撃的な現象が待ち構えています。
その他観客のポケットを使ったポケット・インターチェンジプロットのPOCKET CHANGEや、観客に混ぜさせるトライアンフBEHIND-THE-BACK TRIUMPHなどが気に入りました。

エッセイについては、自分のレパートリーを分類して整理する方法や、自分自身のマジシャン像についてどのように考えるかといった話など実践的な話が中心です。

実用的でありながら、マニア心をくすぐるアイディアも盛り込まれていてとても楽しめた一冊でした。原書の50ドルでも満足できる内容だと感じたのですが、日本語版は3400円というコストパフォーマンスの良さにちょっとびっくりしました。



余談ですが、手品本の邦訳は日本語で読めるだけじゃなくて、日本語版のみの特典とかついて原書より安かったりするので洋書読む人としては結構怖いです。もちろん優れた本が広まるのは非常に良いことだと思いますけど。
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