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Hands Off My Notes - John Gustaferro

02-29,2016

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"Hands Off My Notes" John Guastaferro - 2015

John GustaferroによるHand-off をコンセプトにしたカードマジック作品集。
紙幣などちょっとした小道具を要するものもありますが、基本的にはレギュラーデックで演じる事が出来ます。
大掛かりなセットが必要な手順も少なくとっつきやすい内容です。
作業感をあまり感じさせないように演出面でいろいろと工夫されている点や、現象が多段クライマックスになるように構成された作品も多いあたりが、Gustaferroらしい上手さだなと思いました。

HANDS OFF ACES
2人の観客にデックをよく混ぜさせますが4Aが出そろいます。
この手順で使われる、観客に混ぜさせつつも一部のスタックが保たれるBenjamin Earlの策略が、作品集内でよく使われます。
マニアをひっかけられるタイプのものではないと思いますが、観客自身にかなり自由に混ぜさせた印象が与えられる有用な方法だと思います。

TWENTY
ギャンブリングデモと予言を組み合わせた作品。
セットアップはそこまで大変ではないですが、なかなかの豪華な多段クライマックスです。

HEADS WILL ROLL
想像上で転がしたダイスの目に従って、カードを操作するのですが、その結果が予言されているという作品。
現象は地味な小品ながら、面白い原理のコンビネーションです。

YOUR TURN TO TRIUMPH
彼が発表しているトライアンフの手順BEHIND-THE-BACK TRIUMPH("ONE DEGREE"収録)やUntouchable("Three of a Kind"、"Ready Set GuastaferrO"収録)に良く似ています。
良い手順だと思うのですが、熱の入った解説がされている"ONE DEGREE"に比べて解説があっさりしているので、魅力を伝えきれていない気がしなくはないです。

演出はユニークなものなどを織り交ぜつつなかなか多彩ですが、現象そのものは混ぜたり配った結果、最終的に何が揃うという現象が多い印象を受けました。
すべてレギュラーデックの手順なので仕方ない部分はあると思うのですが、Hand-offという状況下でその現象を達成できるなんて思わなかったという驚きはあまりありませんでした。
そうしたあたりにやや物足りないなさはありましたが、いろいろと新しい発見もあり、演じやすい作品の集まった作品集でした。

52 Lovers - Jose Carroll

01-25,2016

52 lovers

"52 Lovers"Jose Carroll - 1988
"52 Lovers Volume II"Jose Carroll - 1991

最近読んだ本というわけではないですが、噂に聞いていた日本語訳の情報が解禁されてたのでレビューを書こうかと思いたったのでまとめました。

スペインのマジシャンPepe (Jose) Carrollの作品集です。
初めてJose Carrollの演技を見たのは、Tamarizと2人で9カードモンテ(本書収録The Unwary Cheater)を演じている映像でした。
スペイン語で何を言っているか分からなかったのですが、雰囲気や表情から伝わる2人の掛け合いの面白さ、何よりCarrollの繰り広げる現象、技術、演出の素晴らしさに一目惚れして、最も好きなマジシャンの一人となりました。

この作品集は私がこれまで読んだ中でも特に思い入れのある非常に素敵な奇術書です。
私がいつかこんなマジックをしてみたいなあとぼんやり思い描いていたことが、非常に高い完成度で再現されており、完全にやられました。

本書は約20ページにわたる理論の章から始まります。
話の中心となるのはマジックにおける葛藤についてです。マジックにおいてどういった葛藤が考えられ、そうした葛藤やそこから派生する策略をどのように利用するのかについて書かれています。
例えばサスペンス効果について、サスペンス映画の巨匠Alfred Hitchcockの話を取り上げて書かれています。
サスペンスを強調するには具体的にどういった演出を使うのか、またどういったタイプのマジックでそうした演出が有効であるのか等について書かれています。
いずれの内容も分かりやすく、また具体例を交えながら書かれており非常に面白く読むことができました。

Carrollの作品の魅力はなにより独創的で大変素敵な現象にあると思います。
多くはクラシカルなプロットを下地にした作品で、いずれも魔法的で新鮮な現象に溢れています。
例を挙げると、グラスの中に入っているや透明なセロファンに入っているカードのカラーチェンジ。近年Roman Garciaの演技で話題になった作品の元になった手順もある半透明のハンカチを使ったアセンブリ現象The Glass Wall。エースが魔法の鏡のようにめまぐるしく他のカードに変化するReflections。カードが焦げたり、穴が空いたりとエンタメ性に富んだ演出を盛り込んだCannibals!……などなど

スペインと言えば近年何かと話題が多く、特に勢いのあるマジック大国ですが、この作品集を読むとCarrollが後世のスペインのマジシャンに非常に強い影響を与えているのか良くわかります。ここ数年で話題になった作品の原案となる作品などもいくつか収録されていますが、その現象の魅力は後発の改案と比較しても見劣りするものではありません。

本書の作品は非常に魅力的な現象を達成できる代わりに準備が大変な手順が多いです。そのため即戦力のレパートリーを増やしたいと言う人には向きませんし、手順を追いかけるのもなかなか大変です。
ただそうした理由でこの本を無視してしまうのは非常にもったいない選択だと思います。
Jose Carrolという天才とこの名著はもっと多くの人に広まるべきだと思ってます。

2016

01-25,2016

あけましておめでとうございます。
昨年から始めたレビューブログですが、年に20冊ぐらいは余裕で書けるとか思ってましたがそんなことはなかったです。
今年は20冊くらい書ければなと思ってます。(なんとこのままのペースでは達成できません!)


今年も面白そうな本がいろいろ出そうなので楽しみです。
特にPit Hartlingの新刊「In Order To Amaze」が待ち遠しい。
John Carneyの新刊、John Bannon「High Caliber」の邦訳も楽しみですし、Woody Aragón「Memorandum」の英訳版もそのうち出そうなので気になります。(今年出るのかわからないですが)

Cardopolis - David Britland & Marc Russell

12-03,2015


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"Cardopolis" David Britland & Marc Russell - 1984

David BritlandとMarc Russellのカードマジック作品集。David BritlandはGenieのコラム書いたり、Chan Canastaの本書いたりしている人ぐらいの知識しかなかったのですが、いろいろと面白そうな作品を発表されてるみたいなので読んでみました。
実用性はともかく変わった技法を使ったり、いろんなプロットを組み合わせたりとマニアックな作品集で面白かったです。
まえがき無しでいきなりでいきなり作品の解説だったのでちょっとびっくりしました。
いくつか作品の紹介。

Tunnel Sandwich
出現の瞬間が自分でやってても不思議です。レギュラーでは達成できなさそうな現象をレギュラーで達成しているあたりが素敵です。
ちなみに左利きの人がそのまま演じるとインデックスが見えないので現象が非常に伝わりにくいです。現象が素敵なので左利き向けのハンドリングをあれこれ考えて遊んでいました。

Tell Tale Triumph
トライアンフとホフジンザープロブレムを組み合わせた手順。これ複雑そうだなぁとか思って読んでいたのですが意外ととスッキリまとまっていました。

Flesh Eaters(3種)
何人ものマジシャンによってバリエーションが作られたカニバルカード。後発の作品をいくつか知っていたのですが、Britlandの手順がなかなか見かけない手法を用いていて面白かったです。
個人的にはBill MaloneがFlesh Eatersのアイディアを取り入れて演じていた手順が結構好きです。("World's Greatest Magic - Cannibal Cards" "Here I Go Again, Volume 3"収録)
野島伸幸さんが応用したアイディアも面白いです。("Gaffless"収録)

Any Which Way You Can
Marc Russellによる手順。Al Leechの"Sleeve Aces"を組み込んだオールバックルーティン。いまひとつ互いの良さが生かしきれてない感じはありますが、他に見たことが無かった組み合わせなので面白かったです。
Britlandのオールバックルーティンも読んでみたいのですが、本人はあまり興味がないようです。

Spinner
The Daly Spin(デックに表向きでアウトジョグしたカードをくるっと回す)の動きで行なうカラーチェンジ。
私の練習不足か読解力不足かわからないですけど、これスムーズに行うのは難しいなと。



おまけ テジナの日なので動画をとりました。
Tunnel Sandwichを左利きで頑張ったらこんな感じになりました。
本家に比べてわちゃわちゃしててあまりテンポがよくないですが。

Lake Tahoe Card Magic - Mike Maxwell

11-24,2015

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"Lake Tahoe Card Magic" Mike Maxwell - 1985

L&Lの社名の由来となったLouis FalangaとLarry Jenningsのカードマジック作品集です。メインはLouis Falangaの作品です。
Falangaの作品はパケットトリックが中心でエンドクリーンな作品が多いです。演技後はクリーンですが、ギャフカードを使用したりと事前の準備が必要な手順がほとんどです。
準備が必要と言っても特殊なカードの組合せはほとんどなく必要なカードはすぐに揃えられると思います。
現象自体もあまり複雑なものは少なく、パケットの面を隠しつつ進行して最後は多段クライマックスみたいな手順は無いのは割と好みです。
マニアが驚くような手順はありませんが、さまざまなプロットを取り扱っていてそれなりに読み応えがあると思います。

面白い部分はそれなりにあったのですが、個人的には技法の使い方の部分でしっくりこない作品が多かったです。
本書では2-4 count(DM count)の使用頻度がやや高く、冒頭でも解説されています。この技法自体嫌いではないのですが、そこで使って現象を見せるのはちょっと弱くないかと感じた場面がちらほらありました。
またBro.John HammanのBottom Double Dropの応用アイディアがいくつか紹介されています。Hammanが元々この技法を使用している作品"Acey Ducey"は技法が上手く機能した素敵な手順だったので期待して読んだのですが、イマイチ効果的に機能しているように感じませんでした。

各作品についていくつか紹介。

Virginia City Shuffle
Martin Lewisの名作"Sidewalk Shuffle"をギャフカードを使用せずに行なう手順。元々の手順が面白いこともあるのですが、これも良い手順です。
Sidewalk Shuffleのバリエーションについて調べているとこの手順のよく名前が挙がっています。
Michael Ammarも"Easy to~"で演じていていますが、個人的にはAmmarぐらいのテンポの方が好みです。

Fleur Du Lac Aces
Aとブランクカードを使用したジャズエーセズ風のアセンブリ。消え方がマクドナルドエーセズのように消えます。
色々なアセンブリの良いとこを寄せ集めたなかなか効果的な手順だと思います。ただブランクカード側が6枚になので、普通のジャズエーセズに慣れている側からするとしっくりこない感じはあります。
演技後のクリーンナップのアイディアとして紹介されているJenningsのスイッチがずうずうしくてなかなか好きです。
個人的には考えたこともなかったのですが、ブランクカードは普通の観客にとってなじみのないのがウィークポイントであると書かれています。印刷前のカードとかカードを無くした時に手書きするカードと説明するのはよく見かけますが、本書ではゲームをする際にディーラーがボトムに置くことで他の参加者からグリンプスされるのを防ぐために使うとの説明されており珍しいなと思いました。
Fleur Du Lac Acesとは"Flower of the Lake"の意味だそうです。かっこいいです。

その他にJerry Sadowitzの"Come Together"や、ブランクデックルーティン、"Devil's Elevator"等など十数作品解説されています。。
ほとんど作品についてはセリフもしっかり書かれています。現象、解説、セリフの順で解説されているため、解説中セリフ多く手順を追いかけにくいということはありません。


Jenningsの手順は5手順解説されておりカードの貫通現象"The Close-Up Illusin"を除きレギュラーデックで演じることができます。難易度はさほど高くなく、一部の彼の手順に見られる高難易度の手順やマニアックなハンドリングの手順は無いです。逆にそうした手順を期待して読むと物足りないないかもしれません。
5手順中3手順はオイル&ウォーター、オールバック、デビリッシュミラクルといったクラシカルなプロットで、いずれも手順自体にあまり目新しさはありませんが演者の負担と効果のバランスの良い作品が並んでいます。
記憶術をテーマにした2段構成のカード当て"Memoreverse"がなかなか面白かったです。1段目は選ばれた数字の枚数目のカードを言い当て、2段目は観客の選んだカードが何枚目か言い当て、なおかつ観客がカードを配るとその枚数目から選ばれたカードが表向きで出てくるというものです。技法のコンビネーションと数理原理で上手く構成された手順だと思います。ただ選ばれたカードがひっくり返って出てくるところと記憶術の演出がいまひとつハマって無い感じはします。

今年もL&L Publishing eStoreで全品60%offセールをやってます。本書は3ドルしないので十分に元は取れました。



"MAGIC (2014 June)"にL&L社とL&Lの観客特集記事が載っています。
パラパラと流し読みしたきり積んであったのですが、最近ちゃんと読み返したところ大変面白く、今回Lake Tahoe Card Magicが読みたくなったのもL&Lの特集を読んだのがきっかけです。
よく見かけるあのお客さんはそんな経緯で参加していたのかなどといったエピソードなどは面白かったのですが、まだまだよく見かけるのに名前がわからないお客さんが何人かいます。
誰か来年のマジケあたりで「観客これくしょん-観これ-」とか名前つけてL&Lの観客図鑑作ってくれないですかね。
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