スポンサーサイト

-----,--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

52 Lovers - Jose Carroll

01-25,2016

52 lovers

"52 Lovers"Jose Carroll - 1988
"52 Lovers Volume II"Jose Carroll - 1991

最近読んだ本というわけではないですが、噂に聞いていた日本語訳の情報が解禁されてたのでレビューを書こうかと思いたったのでまとめました。

スペインのマジシャンPepe (Jose) Carrollの作品集です。
初めてJose Carrollの演技を見たのは、Tamarizと2人で9カードモンテ(本書収録The Unwary Cheater)を演じている映像でした。
スペイン語で何を言っているか分からなかったのですが、雰囲気や表情から伝わる2人の掛け合いの面白さ、何よりCarrollの繰り広げる現象、技術、演出の素晴らしさに一目惚れして、最も好きなマジシャンの一人となりました。

この作品集は私がこれまで読んだ中でも特に思い入れのある非常に素敵な奇術書です。
私がいつかこんなマジックをしてみたいなあとぼんやり思い描いていたことが、非常に高い完成度で再現されており、完全にやられました。

本書は約20ページにわたる理論の章から始まります。
話の中心となるのはマジックにおける葛藤についてです。マジックにおいてどういった葛藤が考えられ、そうした葛藤やそこから派生する策略をどのように利用するのかについて書かれています。
例えばサスペンス効果について、サスペンス映画の巨匠Alfred Hitchcockの話を取り上げて書かれています。
サスペンスを強調するには具体的にどういった演出を使うのか、またどういったタイプのマジックでそうした演出が有効であるのか等について書かれています。
いずれの内容も分かりやすく、また具体例を交えながら書かれており非常に面白く読むことができました。

Carrollの作品の魅力はなにより独創的で大変素敵な現象にあると思います。
多くはクラシカルなプロットを下地にした作品で、いずれも魔法的で新鮮な現象に溢れています。
例を挙げると、グラスの中に入っているや透明なセロファンに入っているカードのカラーチェンジ。近年Roman Garciaの演技で話題になった作品の元になった手順もある半透明のハンカチを使ったアセンブリ現象The Glass Wall。エースが魔法の鏡のようにめまぐるしく他のカードに変化するReflections。カードが焦げたり、穴が空いたりとエンターテイメント性に富んだ演出を盛り込んだCannibals!……などなど

スペインと言えば近年何かと話題が多く、特に勢いのあるマジック大国ですが、この作品集を読むとCarrollが後世のスペインのマジシャンに非常に強い影響を与えているのか良くわかります。ここ数年で話題になった作品の原案となる作品などもいくつか収録されていますが、その現象の魅力は後発の改案と比較しても見劣りするものではありません。

本書の作品は非常に魅力的な現象を達成できる代わりに準備が大変な手順が多いです。そのため即戦力のレパートリーを増やしたいと言う人には向きませんし、手順を追いかけるのもなかなか大変です。
ただそうした理由でこの本を無視してしまうのは非常にもったいない選択だと思います。
Jose Carrolという天才とこの名著はもっと多くの人に広まるべきだと思ってます。

Cardopolis - David Britland & Marc Russell

12-03,2015


cardopolis.jpg
"Cardopolis" David Britland & Marc Russell - 1984

David BritlandとMarc Russellのカードマジック作品集。David BritlandはGenieのコラム書いたり、Chan Canastaの本書いたりしている人ぐらいの知識しかなかったのですが、いろいろと面白そうな作品を発表されてるみたいなので読んでみました。
実用性はともかく変わった技法を使ったり、いろんなプロットを組み合わせたりとマニアックな作品集で面白かったです。
まえがき無しでいきなりでいきなり作品の解説だったのでちょっとびっくりしました。
いくつか作品の紹介。

Tunnel Sandwich
出現の瞬間が自分でやってても不思議です。レギュラーでは達成できなさそうな現象をレギュラーで達成しているあたりが素敵です。
ちなみに左利きの人がそのまま演じるとインデックスが見えないので現象が非常に伝わりにくいです。現象が素敵なので左利き向けのハンドリングをあれこれ考えて遊んでいました。

Tell Tale Triumph
トライアンフとホフジンザープロブレムを組み合わせた手順。これ複雑そうだなぁとか思って読んでいたのですが意外ととスッキリまとまっていました。

Flesh Eaters(3種)
何人ものマジシャンによってバリエーションが作られたカニバルカード。後発の作品をいくつか知っていたのですが、Britlandの手順がなかなか見かけない手法を用いていて面白かったです。
個人的にはBill MaloneがFlesh Eatersのアイディアを取り入れて演じていた手順が結構好きです。("World's Greatest Magic - Cannibal Cards" "Here I Go Again, Volume 3"収録)
野島伸幸さんが応用したアイディアも面白いです。("Gaffless"収録)

Any Which Way You Can
Marc Russellによる手順。Al Leechの"Sleeve Aces"を組み込んだオールバックルーティン。いまひとつ互いの良さが生かしきれてない感じはありますが、他に見たことが無かった組み合わせなので面白かったです。
Britlandのオールバックルーティンも読んでみたいのですが、本人はあまり興味がないようです。

Spinner
The Daly Spin(デックに表向きでアウトジョグしたカードをくるっと回す)の動きで行なうカラーチェンジ。
私の練習不足か読解力不足かわからないですけど、これスムーズに行うのは難しいなと。



おまけ テジナの日なので動画をとりました。
Tunnel Sandwichを左利きで頑張ったらこんな感じになりました。
本家に比べてわちゃわちゃしててあまりテンポがよくないですが。

Lake Tahoe Card Magic - Mike Maxwell

11-24,2015

67866913.jpg
"Lake Tahoe Card Magic" Mike Maxwell - 1985

L&Lの社名の由来となったLouis FalangaとLarry Jenningsのカードマジック作品集です。メインはLouis Falangaの作品です。
Falangaの作品はパケットトリックが中心でエンドクリーンな作品が多いです。演技後はクリーンですが、ギャフカードを使用したりと事前の準備が必要な手順がほとんどです。
準備が必要と言っても特殊なカードの組合せはほとんどなく必要なカードはすぐに揃えられると思います。
現象自体もあまり複雑なものは少なく、パケットの面を隠しつつ進行して最後は多段クライマックスみたいな手順は無いのは割と好みです。
マニアが驚くような手順はありませんが、さまざまなプロットを取り扱っていてそれなりに読み応えがあると思います。

面白い部分はそれなりにあったのですが、個人的には技法の使い方の部分でしっくりこない作品が多かったです。
本書では2-4 count(DM count)の使用頻度がやや高く、冒頭でも解説されています。この技法自体嫌いではないのですが、そこで使って現象を見せるのはちょっと弱くないかと感じた場面がちらほらありました。
またBro.John HammanのBottom Double Dropの応用アイディアがいくつか紹介されています。Hammanが元々この技法を使用している作品"Acey Ducey"は技法が上手く機能した素敵な手順だったので期待して読んだのですが、イマイチ効果的に機能しているように感じませんでした。

各作品についていくつか紹介。

Virginia City Shuffle
Martin Lewisの名作"Sidewalk Shuffle"をギャフカードを使用せずに行なう手順。元々の手順が面白いこともあるのですが、これも良い手順です。
Sidewalk Shuffleのバリエーションについて調べているとこの手順のよく名前が挙がっています。
Michael Ammarも"Easy to~"で演じていていますが、個人的にはAmmarぐらいのテンポの方が好みです。

Fleur Du Lac Aces
Aとブランクカードを使用したジャズエーセズ風のアセンブリ。消え方がマクドナルドエーセズのように消えます。
色々なアセンブリの良いとこを寄せ集めたなかなか効果的な手順だと思います。ただブランクカード側が6枚になので、普通のジャズエーセズに慣れている側からするとしっくりこない感じはあります。
演技後のクリーンナップのアイディアとして紹介されているJenningsのスイッチがずうずうしくてなかなか好きです。
個人的には考えたこともなかったのですが、ブランクカードは普通の観客にとってなじみのないのがウィークポイントであると書かれています。印刷前のカードとかカードを無くした時に手書きするカードと説明するのはよく見かけますが、本書ではゲームをする際にディーラーがボトムに置くことで他の参加者からグリンプスされるのを防ぐために使うとの説明されており珍しいなと思いました。
Fleur Du Lac Acesとは"Flower of the Lake"の意味だそうです。かっこいいです。

その他にJerry Sadowitzの"Come Together"や、ブランクデックルーティン、"Devil's Elevator"等など十数作品解説されています。。
ほとんど作品についてはセリフもしっかり書かれています。現象、解説、セリフの順で解説されているため、解説中セリフ多く手順を追いかけにくいということはありません。


Jenningsの手順は5手順解説されておりカードの貫通現象"The Close-Up Illusin"を除きレギュラーデックで演じることができます。難易度はさほど高くなく、一部の彼の手順に見られる高難易度の手順やマニアックなハンドリングの手順は無いです。逆にそうした手順を期待して読むと物足りないないかもしれません。
5手順中3手順はオイル&ウォーター、オールバック、デビリッシュミラクルといったクラシカルなプロットで、いずれも手順自体にあまり目新しさはありませんが演者の負担と効果のバランスの良い作品が並んでいます。
記憶術をテーマにした2段構成のカード当て"Memoreverse"がなかなか面白かったです。1段目は選ばれた数字の枚数目のカードを言い当て、2段目は観客の選んだカードが何枚目か言い当て、なおかつ観客がカードを配るとその枚数目から選ばれたカードが表向きで出てくるというものです。技法のコンビネーションと数理原理で上手く構成された手順だと思います。ただ選ばれたカードがひっくり返って出てくるところと記憶術の演出がいまひとつハマって無い感じはします。

今年もL&L Publishing eStoreで全品60%offセールをやってます。本書は3ドルしないので十分に元は取れました。



"MAGIC (2014 June)"にL&L社とL&Lの観客特集記事が載っています。
パラパラと流し読みしたきり積んであったのですが、最近ちゃんと読み返したところ大変面白く、今回Lake Tahoe Card Magicが読みたくなったのもL&Lの特集を読んだのがきっかけです。
よく見かけるあのお客さんはそんな経緯で参加していたのかなどといったエピソードなどは面白かったのですが、まだまだよく見かけるのに名前がわからないお客さんが何人かいます。
誰か来年のマジケあたりで「観客これくしょん-観これ-」とか名前つけてL&Lの観客図鑑作ってくれないですかね。

Card Magic USA - Peter Duffie

11-01,2015

card-magic-usa.jpg
"Card Magic USA" Peter Duffie - 2010

Peter Duffieプレゼンツで、米国のマジシャンのカードマジックオムニバス作品集です。
約50名による技法と手順が80作収録されています。
いろんな人の原稿をまとめてとりあえず1冊の本にしたという感じで解説のスタイルは人によってバラバラです。
活字だけの解説の人もいますし、挿絵が写真の人もいればイラストをつける人もいます。クレジットに関しても本当に人それぞれと言った感じです。
名前を聞いたことのなかったマジシャンもいれば、かなりのビッグネームも大勢名を連ねています。
この類の本に手を出す人は恐らく察しておられるかと思いますが、作品の質に関しては玉石混淆といった感じです。
また有名どころのマジシャンはさすがだなと思うような作品もあれば、名前で期待していたマジシャンがあまりおもしろくなかったりとかもありました。

個人的に面白かった手順をいくつか挙げておきます。

John Bannon - Aces Over Easy
4Aのプロダクションの後、Aをデックの中に裏向きでバラバラに戻すがスプレッドするとAが表向きになって一緒に現れる。
John Bannonらしく実に上手い手順構成。無理に力技でゴリ押すのではなく、巧みな策略で解決するあたりがさすが。
氏の著書"High Caliber"にも収録されているようです。

John Born - The Perfect Pick
嘘を言い当てる演出で行なうカード当て。
実際に演技を見たら相当に不思議に見えると思う。演技中演者はテーブルから離れ、観客が自由に選んだカードは演者が手掛かりをつかめないようポケットに隠してもらうなど非常にクリーンで不可能性が高く見える手順。
氏の著書"Seeking the Bridge"にも収録されているよう模様。

Bill Malone - Up My Sleeve
Card to PocketというかCards up the SleeveのMalone版。
先に映像で観ていて好きな手順でした。("Here I Go Again Vol3"にA Tribute to Johnny Carson !として収録)
それなりにハードですが、上手くまとまった良い手順だと思います。
また併せて解説されているSix Card Repeatも良作だと思いました。

その他にも割と好きなクリエーターのCaleb Wilesによるテクニカラーリセットとジェミニツインズの改案などもなかなか面白かったです。

また本書の最後にPast Mastersというレジェンド枠的な章も設けられており、Gene MazeやMichael Skinnerらの作品も載っています。
個人的にはRoger KlauseによるVernonのOut of Sight Out of Mindのアイディアについての部分が面白かったです。


玉石混淆とは言いましたが、面白い作品はそれなりにあるので何かしら得られるものはある本だとは思います。(上記に挙げた手順のように別の資料で発表されているものもあったりするのですが。)

Las Vegas Kardma - Allan Ackerman

09-21,2015

las-vegas-kardma.jpg
"Las Vegas Kardma" Allan Ackerman - 1994

アメリカのマジシャンAllan Ackermanの作品集。
コインのリバースマトリックスが1作収録されていますが、それ以外はタイトルの通りカードマジックの作品集です。
技法もコントロール、パームを中心にいくつか解説されてり、全体の2-3割ぐらいを占めています。
Ackerman自身はスライハンドの名手ですが、手順の技術的な難易度はあまり高くありません。セルフワーキングトリックもそこそこの割合を占めています。
またAckermanといえばMarlo派のマジシャンだけあり、全体的にMarloへのリスペクトが感じられます。実際Marloのバリエーションを集めた"Some Marlo Gems"と名付けられた章もあります。

収録されている作品数も多く、幅広いプロットを取り扱っていますが、特にジェミニツインズとエースアセンブリの内容は充実しています。
ジェミニツインズについては4作収録されており、中心となるトリックは基本的に同じですが演出がバラエティ豊かです。
いずれもよくできた作品ですが、「テクニカルなカードマジック①」で収録手順の改案(違いはセットの有無ぐらいでほとんど同じ)を先に読んでいたので、やや新鮮さには欠けましたが、元となる作品や創作の経緯が面白く読めました。

エースアセンブリには、リバース、オーヘンリー、アルティメットアセンブリと複数のタイプのアセンブリ現象を取り扱っています。
リバースアセンブリについては本書を読む前から、他の本で何度か取り上げられているのを見ており、後発の作品への影響も大きいかと思います。

全体的に手順そのものは、手順構成や技法の使い方などが個人的な好みからはやや外れていましたが、特にアセンブリの章などは読みごたえがあり面白かったです。
また個人的には選ばれた4枚のカードを不可能な状況下で当てる"Impromptu Paul Fox"が面白かったです。

クレジットに関しては詳細で、誰のアイディアが元になったかであったり、過去の作品との違いなど詳細に書かれています。
ただマジシャンの名前や時期などは詳細ですが、元になった作品が発表された書籍の名前などはあまり詳しく書かれていません。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。