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One Degree - John Guastaferro

06-04,2015

one degree

"One Degree ジョン・ガスタフェロー カードマジック"John Guastaferro著、富山達也訳 - 2015

2010年に出版されたJohn Guastaferroの作品集"One Degree"の日本語版。
大きな効果のための細やかな工夫を意味する"One Degree"が本作のテーマです。過去の作品をいかに工夫したかという点や、創作の経緯についてしっかり書かれています。クレジットについても原案や類似作品を羅列するだけでなく、「このアイディアは誰のアイディアで出典は~」と詳細に書かれています。
全体的に実用的な作品が並んでいて、いずれも難易度は高くないですが現象がはっきりしていて効果的な手順が多いです。
それぞれの作品にしっかりとした演出がついているのと、観客とコミュニケーションを取りながら進めていく手順が多い印象です。
不思議さを突き詰めた感じのマニア殺し的な目的で作られたトリックはありませんが、ところどころマニアも引っかかる部分もあったり、変わったアプローチの手順もあるので誰が読んでもそれなりに楽しめると思います。

過去にDVD等で発表された作品もそこそこ収録されています。
「Brainstorm」「Second Storm」を鑑賞済みだったので、既に映像で見た作品も結構ありました。しかしそれぞれに細やかなアイディアが追加されており、本作のテーマである細かな工夫を過去の手順と比較しながら読めたので面白く読むことができました。

LOST & FOUNDという透明なスリーブケースを使ったポイントオブデパーチャー的なトリックがあるのですが、ラストに実に巧妙な手法が使われており映像で見たとき完全に引っかかりました。いいトリックなのですが、ちょうどいいスリーブケースが見つからないのが難点です。
オープン・トラベラーズのバリエーションであるSOLOは解説を読む前に実演を見たかったです。このプロットの欠点を解決しつつ、終盤に衝撃的な現象が待ち構えています。
その他観客のポケットを使ったポケット・インターチェンジプロットのPOCKET CHANGEや、観客に混ぜさせるトライアンフBEHIND-THE-BACK TRIUMPHなどが気に入りました。

エッセイについては、自分のレパートリーを分類して整理する方法や、自分自身のマジシャン像についてどのように考えるかといった話など実践的な話が中心です。

実用的でありながら、マニア心をくすぐるアイディアも盛り込まれていてとても楽しめた一冊でした。原書の50ドルでも満足できる内容だと感じたのですが、日本語版は3400円というコストパフォーマンスの良さにちょっとびっくりしました。



余談ですが、手品本の邦訳は日本語で読めるだけじゃなくて、日本語版のみの特典とかついて原書より安かったりするので洋書読む人としては結構怖いです。もちろん優れた本が広まるのは非常に良いことだと思いますけど。
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