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4 F Ⅻ - Daryl

05-02,2016

IMG_1190.jpg

"4 F Ⅻ" Daryl - 2016

先日箱根で開催されたコンベンションでのレクチャー内容をまとめた冊子です。
コンベンション後、各地でレクチャーを開催されておりそちらの方に参加しました。
冊子の感想というよりレクチャーの感想に近いかもしれません。

演技中のストレスを出来る限りなくしたいとのことをレクチャー冒頭でおっしゃっていただけあり、収録されている作品は演者の負担が少なく、効果的な作品が並んでいます。
単純に難易度の高いスライハンドを使用しないこともありますが、技法を用いる場面では適切なミスディレションやカバーが伴うように構成されており、ほとんどの手順がエンドクリーンになるように構成されている点も特徴です。
また技法の使い方としては、現象を起こす瞬間に技法を使うのではなく、現象の時点ではすでに裏の仕事を済ませている作品が多いです。

The Effect-less Methodと名付けられたエッセイで、観客の間違った思い込みをより強固なものにさせるために技法を用いるという策略が紹介されています。レクチャーで肝になる部分のひとつであり、本書でも具体的な作品を紹介しながらわかりやすく紹介されています。秘密の動作に疑念が抱かれにくくなることやエンドクリーンに終わることができることにもつながる策略でありなるほどなと。

いくつか作品の紹介を。

Bennet’s Boner
Horace Bennettによる破いた紙玉の復活。従来の手順のようにパームやスイッチが必要ではあるのですが、巧妙なハンドリングのおかげで、非常にストレスの少ない手順だなと。

Hyper-Bent-Elation
売りネタにもなっている、ハイパーカードを使ったマジック。
現象も奇妙でいいですが、秘密の動作が演技の早い段階で終わっているのも良いです。

Audio Transposition
2つのおもちゃの音が入れ替わるマジック。
The Effect-less Methodで具体例の一つとして紹介されています。実演を見たとき完全に引っかかって現象も面白かったのですが、この冊子での解説はちょっと簡潔すぎて現象が伝わらないように思います。

これまでDarylのマジックに対して抱いていたイメージは、明快な現象をオーソドックスなハンドリングで構成されているといったものでした。
改めて作品について触れて考え方を知るとオーソドックスな手法の中にもしっかりとしたDarylのタッチを感じることができました。

Darylはレクチャーが上手いのは知っていましたが、実際大変良かったです。解説がわかりやすく、細かな考え方を知ることができたことももちろん、解説まで楽しませようとするエンターテイナーっぷりが素敵でした。
個人的にレクチャーに参加すると、解説いらないからもっといろいろ見たいって場合が結構多かったりするのですが、今回はレクチャーという形式で非常に良かったなと思いました。
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One Degree - John Guastaferro

06-04,2015

one degree

"One Degree ジョン・ガスタフェロー カードマジック"John Guastaferro著、富山達也訳 - 2015

2010年に出版されたJohn Guastaferroの作品集"One Degree"の日本語版。
大きな効果のための細やかな工夫を意味する"One Degree"が本作のテーマです。過去の作品をいかに工夫したかという点や、創作の経緯についてしっかり書かれています。クレジットについても原案や類似作品を羅列するだけでなく、「このアイディアは誰のアイディアで出典は~」と詳細に書かれています。
全体的に実用的な作品が並んでいて、いずれも難易度は高くないですが現象がはっきりしていて効果的な手順が多いです。
それぞれの作品にしっかりとした演出がついているのと、観客とコミュニケーションを取りながら進めていく手順が多い印象です。
不思議さを突き詰めた感じのマニア殺し的な目的で作られたトリックはありませんが、ところどころマニアも引っかかる部分もあったり、変わったアプローチの手順もあるので誰が読んでもそれなりに楽しめると思います。

過去にDVD等で発表された作品もそこそこ収録されています。
「Brainstorm」「Second Storm」を鑑賞済みだったので、既に映像で見た作品も結構ありました。しかしそれぞれに細やかなアイディアが追加されており、本作のテーマである細かな工夫を過去の手順と比較しながら読めたので面白く読むことができました。

LOST & FOUNDという透明なスリーブケースを使ったポイントオブデパーチャー的なトリックがあるのですが、ラストに実に巧妙な手法が使われており映像で見たとき完全に引っかかりました。いいトリックなのですが、ちょうどいいスリーブケースが見つからないのが難点です。
オープン・トラベラーズのバリエーションであるSOLOは解説を読む前に実演を見たかったです。このプロットの欠点を解決しつつ、終盤に衝撃的な現象が待ち構えています。
その他観客のポケットを使ったポケット・インターチェンジプロットのPOCKET CHANGEや、観客に混ぜさせるトライアンフBEHIND-THE-BACK TRIUMPHなどが気に入りました。

エッセイについては、自分のレパートリーを分類して整理する方法や、自分自身のマジシャン像についてどのように考えるかといった話など実践的な話が中心です。

実用的でありながら、マニア心をくすぐるアイディアも盛り込まれていてとても楽しめた一冊でした。原書の50ドルでも満足できる内容だと感じたのですが、日本語版は3400円というコストパフォーマンスの良さにちょっとびっくりしました。



余談ですが、手品本の邦訳は日本語で読めるだけじゃなくて、日本語版のみの特典とかついて原書より安かったりするので洋書読む人としては結構怖いです。もちろん優れた本が広まるのは非常に良いことだと思いますけど。
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